不動産会社が遵守すべき特定事項の明示義務について

不動産業

不動産会社は、多くの購入希望者に物件情報を見てもらうために、魅力的な不動産広告を作成する必要があります。
また、不動産広告において守るべきルールはいくつかありますが、その中の1つに“特定事項の明示義務”というものがあります。
今回は、こちらの詳細について解説します。

特定事項の明示義務とは?

特定事項の明示義務とは、不動産広告に掲載する物件における、都市計画法・建築基準法などの法令による利用制限や、消費者が予測することが困難な物件の欠陥などについて、広告上で明示する義務のことをいいます。
不動産を購入する方は、こちらの情報を確認することで、購入しようとする物件に何かしらの特殊な事情があることを把握できます。

また、不動産を売却しようとする方は、特定事項の明示義務が果たされているのをチェックすることにより、売却を委託する不動産会社の信頼性がある程度わかることになります。

特定事項の明示義務がある特定事項について

以下のような特定事項のある物件を不動産広告に掲載する場合、不動産会社は必ずその情報について明示しなければいけません。

カテゴリー 例
区域 市街化調整区域にある、都市計画道路の区域にある
土地の状態 接道義務違反がある、路地状敷地を含む、セットバックを要する、傾斜地を含む
建物の状態 古屋、廃屋がある
周辺環境 沼沢地などにある、高圧電線下にある、がけ直近にある
その他 特異な地整の物件(著しく不整形な土地、区画の地盤面が2段以上に分かれているなど)、長期間建築中断があった など

市街化調整区域にある

市街化調整区域とは、文字通り市街化を抑制する地域であり、このような土地にある物件については、不動産広告で「市街化調整区域のため、宅地の造成および建築はできません」と記載する必要があります。

都市計画道路の区域にある

市街地の道路条件を改善するため、都市計画の一環として造られる道路が都市計画道路ですが、こちらの区域にかかる土地は、「約10㎡は都市計画道路区域内である」といった記載が必要です。

接道義務違反がある

建物を建てる場合、原則幅員4mの道路に、2m以上接した敷地でなければならないというルールが接道義務ですが、こちらを違反している物件は、不動産広告に“建築不可”、または“再建築不可”と明示しなければいけません。

路地状敷地を含む

敷地内の通路により、道路に接している敷地を路地状敷地といいます。
路地状部分の面積が土地面積の約30%以上である場合、“路地状部分を含む”という文言とあわせて、路地状部分の割合や面積を記載する必要があります。

セットバックを要する

土地の境界線から一定の間隔を確保し、建物を建てることをセットバックといいますが、こちらが必要な物件は、「セットバックを要する」と記載しなければいけません。

傾斜地を含む

傾斜地を含む物件の場合、土地面積と合わせて、傾斜地の割合と面積、建築可能な範囲の情報を記載します。
具体的には、「土地面積250㎡(約30%の傾斜地を含み、建築可能な範囲はがけの先端から10m後退した位置となる)といった情報です。

古屋、廃屋がある

敷地内に古屋や廃屋がある場合も、「土地250㎡(古屋あり)」という風に告知します。

沼沢地などにある

沼沢地は、酸性の泥炭が蓄積している湿原であり、このような土地にある物件ではその旨を明示しなければいけません。

高圧電線下にある

高圧電線下にある物件は、一定の危険を伴うことから、不動産広告においてその旨を明示する必要があります。
土地のすべてもしくは一部が高圧電線下の場合、その旨と概ねの面積、建物などの建築が禁止されている場合は、その旨についても合わせて記載します。

がけ直近にある

擁壁によって覆われていないがけの上もしくは下にある物件では、“高さ10mのがけ上に位置する”といったような文言で、その旨を伝えなければいけません。

まとめ

ここまで、不動産広告における特定事項の明示義務について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
前述した特定事項について明示することは、不動産会社やその顧客にとって、非常に大事なことです。
また、不動産会社が顧客満足度をアップさせるには、このようなルールを遵守するだけでなく、E-Pサーベイプロを活用した顧客満足度調査を行うことも大切です。

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